栄養部門 栄養科 科長代行:川手 由香

部門紹介

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 栄養科は主な業務として、フードサービス(給食管理・調理)とクリニカルサービス(臨床栄養管理)の2つの機能を持っています。フードサービスは、入院患者さんにとって「入院中の潤いになるお食事を、安全・安心・安定的に提供する」ことを第一義としています。またクリニカルサービスは、外来・入院の栄養相談(個別・集団)の実施や、入院患者さんに適切な栄養治療を提供できるよう医師、看護師、薬剤師等と協働しNST(栄養サポート)としてチームで活動しています。

フードサービス(給食管理)

栄養科はA棟2階にあり、厨房は清潔度別に区域分けし、交互汚染を防ぐ構造になっており、調理場の温度は年間を通じて25℃以下に設定した、衛生管理を第一とした施設になっています。病院食が患者さんにとって入院生活の潤いになるよう、選択メニューや行事食、京のしきたりや伝統食などを献立に取り入れています。お正月はもちろん、花見の季節には「お花見弁当」を、週に1回麺の日を設けアツアツの「鍋焼き麺」をお出ししたり、冬の季節には病棟にて「鍋焼きおでん」や「豚しゃぶ」などの小鍋料理をご提供したりしています。また、食器は強化磁器を使用するなど、家庭的な雰囲気を目指して努力しています。

 入院中でも季節を味わっていただけるよう、旬の食材を使った季節の行事食にメッセージカードを添えてご提供しています。また、がんそのものや抗がん剤治療の副作用等で食欲低下や味覚を感じにくくなった患者さん対象の「桂サポート食」もご提供しています。

 日本病態栄養学会病態栄養認定管理栄養士や認定がん病態栄養専門師、日本静脈経腸栄養学会栄養サポートチーム専門療法士、日本糖尿病療養指導士等の資格を持った管理栄養士と厚生大臣認定の給食用特殊料理専門調理師や労働大臣認定の調理(給食用特殊料理調理作業)技能士等の資格を有する調理師が連携しながら、入院患者さんのお食事をご提供しています。

eiyou_fu-dosa-bisu 産科病棟では、人生の大仕事である出産を終えたお母さんのために、ボリュームがあって尚且つ栄養バランスが整い、腸内環境にも配慮した「産後食」をご提供しています。シンバイオティクスを取り入れ、プロバイオティクスの乳酸菌やヤクルト菌、プレバイオティクスの食物繊維とオリゴ糖を豊富に含んだ食事になっています。朝食のパンは焼き立て、15時にはスキントラブルや便秘を考慮したおやつを提供するなど、こだわりのメニューをお出ししています。

 

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クリニカルサービス

★外来

(1)外来―個別相談

 平日の9:00から個別の栄養相談を行っています。対象は、糖尿病、腎疾患、心疾患、肝胆疾患、膵疾患、消化管術後、脳血管疾患、脂質異常症、がんや摂食嚥下障害、低栄養状態などの疾患を有した患者さんです。

 日本糖尿病療養指導士、日本病態栄養学会病態栄養認定管理栄養士、日本病態栄養学会認定がん病態栄養専門師、日本静脈経腸栄養学会栄養サポートチーム(NST)専門療法士等の資格を持った管理栄養士も個別相談にあたっています。ご希望の方は外来診察時に医師へご相談ください。

 また、内分泌・糖尿内科と協働し「連携栄養指導」として連携医からの依頼の栄養相談も承っております。対象疾患は糖尿病、脂質異常症、高尿酸血症・痛風、高血圧症です。詳細は、京都桂病院ホームページの「連携栄養指導ページ」をご参照ください。

糖尿病性腎症2期以降の患者さん対象に、医師・看護師・薬剤師と協働した「糖尿病透析予防外来指導」も実施しています。

 

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(2)外来―集団教室

  肝臓病教室、腎臓病教室、出産準備教室、糖尿病教室(患者会「あおば会」「糖尿病女子会」)を定期的に開催しています。

 開催前には該当診療科の外来診察室前にポスター等で掲示していますのでご参照ください。

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★入院

(1)入院―個別相談

 外来の個別相談同様、糖尿病、腎疾患、心疾患、肝胆疾患、膵疾患、消化管術後、脳血管疾患、脂質異常症、がんや摂食嚥下障害、低栄養状態などの疾患を有した患者さん対象に随時個別相談を行っています。入院中の食事内容の説明をはじめ、退院後の食事の工夫点や注意点のご説明やご相談を行っています。

 

(2)入院―集団教室

 糖尿病やCKD(慢性腎臓病)の教育入院の患者さんを対象に入院集団教室を行っています。実際にご飯を盛り付けていただいたり、同じ疾病をもつ患者さん同士でお話しいただくなど、講義だけでなく実技もおりまぜた内容となっています。

 

(3)入院―NST(栄養サポートチーム)

 栄養障害が進行すると、組織・臓器の機能不全、創傷治癒遅延1、感染性合併症の発生2,3、原疾患の治癒障害ないしは悪化をもたらします。また在院日数が延長し4、医療費の増加4にもつながります。適切な栄養療法は、患者予後を改善し5,6,7、医療費の削減をもたらす8ことが実証されています9

 

 Nutrition Support Team (NST:栄養サポートチーム)は,1970年米国のボストンで誕生しました。1997年までは本邦において,わずか数施設にNSTの設立が確認されているにすぎませんでしたが、1998年日本静脈経腸栄養学会(JSPEN)を主体として医師、 栄養士、看護師、薬剤師などチームとして栄養管理を実施するNSTを普及させるための活動が開始されました1011

 当院では2003年からNSTを立ち上げ、2016年4月にはNST専任チームを3チームに増やし、管理栄養士3名が専従として、入院患者さんへの適切な栄養治療の提供と医療の質を高める活動を行っています。

 

【構成メンバー】

 医師(消化器内科、乳腺科、内分泌・糖尿内科、外科、呼吸器外科、脳神経内科、救急科)

 看護師、薬剤師、管理栄養士、理学療法士、臨床検査技師、医事職員

 

【2016年度のNST活動と目標】

 患者さんの栄養状態の改善や治療効果の向上、合併症の予防、QOLの向上、在院日数の短縮、医療費の削減などを目標として、以下のように活動しています。

◆入院時すでに栄養状態不良の患者さんや、手術前後の患者さん、入院後に栄養状態が悪化した患者さんや悪化が予想される患者さんについては短期間で評価し、適切な栄養投与を主治医と一緒に計画・実施・再検討しています。

◆栄養状態に問題のある入院患者さんを早期に抽出するために、全病棟で栄養スクリーニングカンファレンスを毎週行い、栄養状態のリスク評価、必要栄養量の算出、適切な栄養投与の検討、再評価などを行い早期退院に向けて支援を行います。

◆専門の知識を有した多職種で構成されたNSTメンバーにより、検討が必要な患者さんは週1回病棟でカンファレンスと回診を行って栄養治療方針を主治医と一緒に決定していきます。

◆これから臨床栄養を学ぶ方へのプライマリートレーニングを行っています。また毎月第2金曜日の18時から勉強会を定期開催し、リクエストが多い講習については臨時講義を、また必要に応じて院外からも講師を招き講義を行い、臨床栄養の基本とその重要性を広く啓蒙し、栄養基礎知識の普及と栄養サポートの質向上を目指しています。

◆2016年4月より、一般社団法人日本静脈経腸栄養学会「栄養サポートチーム(NST)専門療法士認定教育施設」に認定されました。これはNST専門療法士資格の受験に必須とされている40時間の実施修練研修を行うことが出来る施設です。今後、院内・院外ともに研修生を積極的に受け入れ、地域の栄養管理の質的向上にも貢献していきたいと考えています。

 

【2015年度活動実績】

・NST介入件数月平均86.9件(2014年度46.6件)

・NSTプライマリートレーニング(年4回)・NSTミーティング(毎月1回)

・NST回診チームを5チームに増加

 

【2015年度学会等発表】

 ・2015年8月 京都南部肝疾患フォーラム(京都市)

  「当院における肝臓疾患の栄養管理」

 ・2015年9月 37th ESPEN Congress (LISBON-PORTUGAL)

  「Comparison of the prevalence and characteristics of undernutrition.」

 ・2016年1月 第19回日本病態栄養学会年次学術集会

  「当院における院内発生褥瘡の栄養指標に関する検討」

  「消化器内科・外科を繋ぐ術前栄養管理の取り組み」

  「当院の小児入院患者における栄養評価」

・2016年2月 第31回日本静脈経腸栄養学会学術集会

  「術後気管支断端瘻に対するHMB、グルタミン、アルギニン強化栄養食品の使用経験」

  「消化器疾患における術前栄養障害と筋肉量の関連」

  「アルギニン含有栄養剤とオルニチン含有栄養剤により放射性食道炎予防効果の検討」

 

 

 

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【認定施設】

日本静脈経腸栄養学会(JSPEN)認定教育施設、JSPEN認定NST稼働施設、病態栄養学会認定NST稼働施設、日本栄養療法推進

協議会認定NST稼働施設

【資格】

・日本静脈経腸栄養学会

 指導医、栄養サポートチーム専門療法士(管理栄養士、薬剤師、看護師、臨床検査技師)

・日本病態栄養学会

  病態栄養認定管理栄養士、認定がん病態栄養専門師

・日本褥瘡学会

  認定褥瘡管理栄養士

 

  1. Haydock DA, Hill GL. Impaired wound healing in surgical patients with varying degrees of malnutrition. JPEN 10: 550-554, 1986
  2. Felblinger DM. Malnutrition, infection, and sepsis in acute and chronic illness. Crit Care Nurs Clin North Am 15: 71-78, 2003
  3. Keusch GT. The history of nutrition: malnutrition, infection and immunity. J Nutr 133: 336S-340S, 2003
  4. Messner RL, Stephens N, Wheeler WE, et al. Eff ect of admission nutritional status on length of hospital stay. Gastroenterol Nurs 13: 202-205, 1991
  5. Kudsk KA, Minard G, Woojtysuak SL, et al. Visceral protein response to enteral versus parenteral nutrition and sepsis in patients with trauma. Surgery 116: 516-523, 1994
  6. Martin CM, Doig GS, Heyland DK, et al. Multicentre, cluster-randomized clinical trial of algorithms for critical-care enteral and parenteral therapy(ACCEPT). CMAJ 170: 197-204, 2004
  7. Moore EE, Jones TN. Benefits of immediate jejunostomy feeding after major abdominal trauma- a prospective, randomized study. J Trauma 26: 874-879, 1986
  8. Kaminski MV Jr. The case for nutrition support: eliminating hospital-acquired malnutrition improves outcome and reduces costs. Health Progress 73: 69-78, 1992
  9. Reilly JJ Jr, Hull SF, Albert N, et al. Economic impact of malnutrition: a model system for hospitalized patients. JPEN 12: 371-376, 1988
  10. 日本静脈経腸栄養学会編, 静脈経腸栄養ガイドライン-第3版. 照林社, 2013年;p3-4
  11. 日本静脈経腸栄養学会 NST委員会 ホームページ <http://www.nst-jspen.com/purpose.html>