桂 ER 救急医療最前線 ブログ

ブ菌感染の肺空洞性病変はかなり怖い

【投稿日】2016年12月29日(木)

2016年も残り僅か。

上の写真は桂病院の裏の山の奥にあります

京都大学桂キャンパスの一風景です。

主に工学部、化学部関連の校舎群(クラスター)や

企業の寄付による大きな記念講堂、

イノベーションプラザ等、

そのうち産官学連携を救急医療・地域医療でうまく絡めたい

Tとしてはとてもテンションの上がる立地です。

毎日ここを通りながら通勤して、モチベーションを維持しております。

 

12月28日は今年最後の早朝勉強会。

70歳代女性の全身の痛みで救急搬送。

ただ、バイタルサインでSpO2低下があり、

主に体幹部の痛みであったため、

SpO2低下を優先的に診療。

胸部レントゲンで広範囲の浸潤影あり肺炎の診断。

 

全身の急激な痛みは、

敗血症・菌血症によるもの、

インフルエンザやそれに類似したILIのようなもの、

精神科系薬剤等による横紋筋融解症や悪性症候群、

悪性リウマチのような基礎疾患に膠原病があればそれの急性増悪、

ショックや低酸素血症によって筋の嫌気性代謝が進行しての筋肉痛、

等々があります。

今回は肺炎による低酸素血症、敗血症が原因であったと考えられます。

そしてやはり高齢者。

呼吸困難が自覚症状として前面に出ていないため、

バイタルサインをしっかり意識しないといけませんね。

 

広範囲の肺炎であったため、

炎症のパターンを知るために胸部単純CTへ。

そしたら気管支拡張や空洞病変が散発!!

結核や非結核性抗酸菌感染症(NTM)を疑いましたが、

抗酸菌検査は陰性。

結果は、血液培養、痰培養から黄色ブドウ球菌検出。

侵襲性の黄色ブドウ球菌感染症だったのですね。

基本的にブ菌は肺炎を起こしにくく、

インフルエンザ感染後等の免疫力が低下している時に

病原性を全面に出します。

そして肺炎を起こすと、かなり激しい様相を

呈して致死的経過を辿ることがしばしばあります。

 

空洞性病変は研修医の先生が紹介してくれた

CAVITYの語呂合わせが覚えやすいですね。

C:Cancer 肺癌を含む悪性腫瘍

A:Autoimmune disorder Wegener肉芽腫、関節リウマチ等の自己免疫疾患

V:Vascular spread 敗血症性塞栓症などの血行性塞栓による変化

I:Infection 結核、NTM、アスペルギルスなどの真菌、肺化膿症

T:Traumatic 仮性肺嚢胞等の外傷性変化

Y:Young 肺分画症等の先天性疾患

 

ただ結構ざっくりしていて、

感染症に関しては、ブ菌、肺炎桿菌等のスーパー激しい感染症を

知っておく必要があります。

古巣でそのような呼吸不全を経験したTとしては、

とても恐ろしい経過を辿るのが焼き付いているので、

是非一度は通しで空洞性肺疾患について研修医の皆さんには

学んでおいて欲しいです。

 

パブメドで充実した内容のレビューがあるので、

ちょっとボリュームが多いですが、見てみて下さい。

 

Cavitary Pulmonary Disease.

Clin Microbiol Rev.  Apr; 21(2): 305-33

 

救急症例検討を行うことで、

自分がどの専門分野に行こうとも

それ以外の診療科についても

満遍なく学ぶ機会があるのが、

桂病院の研修の特長だと思います。

 

前向きにちゃんと身に付けてもらい、

どこの病院で専門研修をしようとも、

救急外来の当直に入ることはあるので、

しっかり学んだものをうまく生かして、

桂病院で救急医療について学んで良かったと思えるように

引き続き皆で頑張りましょう!

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