桂 ER 救急医療最前線 ブログ

汎血球減少症のER初期対応

【投稿日】2016年11月13日(日)

京都は紅葉が見頃になり、街中や京都駅が

カオスになっています。

人混みが苦手なTはやはりいつものように人酔い。

寒い中で観光客が激増するので、旅行客の急変も激増です。

嵐山に行く予定の観光客の皆様、

必ず保険証とかかりつけ医があれば薬手帳の持参を忘れないで下さい。

写真は旧嵯峨御所大覚寺。結構広い寺院で庭園や襖絵がとてもキレイです。

夜間拝観もこの時期やっています。

 

 

11月2日の早朝勉強会。

1カ月ほど前から呼吸困難感を来した60歳台女性。

症状の原因は貧血と心膜炎疑いによると考えられた症例。

今回、ディスカッションになったのは、

血液検査で汎血球減少症を来していたため、

ERの初期対応はどこまですれば良いのか、

ということでした。

しかも本症例は血小板が0.7万まで低下。

 

汎血球減少症は、主に血液疾患かそうでないかで

まず考えます。

代表的なものとして、

重症感染症(下部消化管穿孔等)、肝硬変、薬剤性、

麻疹のようなウイルス感染症、SLE等の膠原病。

そして、白血病、巨赤芽球性貧血、再生不良性貧血、

骨髄関連疾患等の血液疾患(血液疾患以外の悪性腫瘍もありますが)です。

 

汎血球減少症はERで原因が直ぐに確定できません。

骨髄穿刺で調べるにしても全身状態が最初悪い人が多いので、

血液疾患以外を考えながらまず対応する必要があります。

 

ですので、まず緊急性の高いものを考えていく必要があります。

全身状態、発熱の有無から

重症感染症の可能性も否定できないのであれば、

各種培養+全身CTで感染源検索。

著明な好中球減少症があれば、好中球の改善、培養の結果が出るまで、

CFPMやMEPM等の広域抗菌薬を投与せざるを得ません。

 

そして、薬剤性。

抗がん剤、抗甲状腺薬、抗菌薬、抗痙攣薬、解熱鎮痛薬等が

起き得ますが、必ず各薬剤で起き得るか自分で調べるか

薬剤師さんかに調べてもらいましょう。

 

SLEや肝硬変も念頭に置いておきましょう。

抗核抗体やエコーでの肝脾の形態確認は必要ですね。

 

そして、ようやく血液疾患です。

胃全摘術後(ビタミン12欠乏を来しうる)や

ビタミンB12、葉酸欠乏を来しての巨赤芽球性貧血を鑑別しつつ、

ようやく血液内科コンサルテーション。

白血病でも汎血球減少症を来す場合があります。

地味に忘れてはいけないのが、

血小板輸血が一応禁忌になっている

血栓性血小板減少症(TTP)。

最近は溶血性尿毒症症候群(HUS)との区別が困難であったりするため、

血栓性微小血管障害症(TMA)という概念も提唱されています。

これもADAMTS13の活性低下や抗ADAMTS13抗体を調べる必要がありますが、

結果は数日経たないと分からないため、ERではその検査は考慮できません。

ですので、溶血性貧血を伴う著明な血小板減少症の場合、

TMAがどうしても否定できない場合は、

血漿交換を行って、血小板を補充するという事を初期対応としては

せざるを得ない場合があります。

今回は溶血性変化を来していなかったため、可能性は低い印象を受けました。

 

上のことを意識した対応をして、

敗血症、SLE、肝硬変等の血液疾患で無いものを除外して、

輸血が必要であれば、TMAの可能性だけ否定して、ERの段階で輸血まで考慮して、

その他の細かい疾患は血液内科にお願いしたらいいと思います。

何故なら、直ぐに結果の出ない検査ばかりだからです。

 

研修医がERで良く悩む汎血球減少症。

外注や平日時間内でないと分からない検査が必要になりますので、

初期対応ではある意味割り切らないといけない部分があります。

実際の症例を交えながらディスカッションして、

疾病に拘り過ぎない初期対応を考えてレベルアップしていきましょう!

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