桂 ER 救急医療最前線 ブログ

眠い時間に魔は潜む

【投稿日】2016年2月16日(火)

寒くなると入浴時の高齢者CPAが増えます。

年々増えていると思ったら、

滅茶苦茶増えてますね。

何と入浴時の溺死者は10年で7割増との報告

9割が65歳以上。

入浴時にCPAになった人はまず助かりません。

運良く心拍再開出来ても、社会復帰はまず出来ません。

何故なら、第一発見者は、大概高齢の相方で、

いつからCPAになっているか分からず、

風呂の栓を抜かず、身体を浴槽から引き出せず、

胸骨圧迫できず、と

助からないポイントばかりがある環境だからです。

高齢者の家族がいる人は、是非

ヒートショックの予防、10分以上の長時間の入浴を止める、

急激な立位はしないようにする、

半身浴ならぬ顔が浸からぬ1/3浴程度にする、

家族は10分おきに本人の状況を確認する、

等の啓蒙をお願いします。

 

前置きが長くなりましたが、

2月10日の早朝勉強会はM&Mカンファ。

20歳代男性の胸部違和感。

来院は深夜帯でバイタルサイン超安定。

全身状態もそれなりに良し。

縦隔気腫や心外膜炎、心筋炎は否定しておきたい。

心膜摩擦音は無いし、

皮下気腫や急激な嘔吐、激しい咳嗽のエピソードも無し。

胸部レントゲンと心電図を撮ったが、

心電図では早期再分極のみと判断し、

その他特記事項無として帰宅。

32時間くらい経過した午前中の内科外来受診したら、

かなり具合悪そうで、嘔吐してグッタリ。

血液検査で何とトロポニン陽性!

心嚢液貯留あり、心壁運動低下あり。

心外膜炎+急性心筋炎ということで

集中治療室入院に!!

 

恐ろしい展開…。

原因はパラインフルエンザウイルスによるもので、

幸い全快退院しました。

 

振り返ってみると、

早期再分極と思ったST上昇は、

心筋炎によるST上昇だったのです。

 

ERでは特に恐ろしい時間帯である

魔の深夜帯。

その理由として、

①当直医は準夜帯が忙しいと疲れるし眠くなる。

②精神的な問題で不定愁訴の患者が増える。

③看護師体制がやや薄くなる。

等様々な理由があります。

そのため、一見全身状態が良い若年の患者が来ると、

気が緩みます。最早おやすみ~って感じになります。

 

ですが、そういう時こそ神経を研ぎ澄ます必要があります。

今回の症例は当日に積極的に入院させられたか、

というと難しい印象でしたが、

積極的に翌日のフォローを促すことは出来たと思いますし、

胸部症状のある人に早期再分極と決め付けるのは

もう少し考えても良かったかもしれません。

 

ERは症例の宝庫でもあり、

リスクの巣窟でもあります。

「医師」という医療のプロフェッショナリズムを

一番分かりやすく楽しめる場所でもあり、

一番足元を掬われやすい場所でもあります。

 

皆で引き続き、

症例を共有していき、

リスクを減らして楽しんでいきましょう♪

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