桂 ER 救急医療最前線 ブログ

柔らかい激しい腹痛

【投稿日】2015年12月31日(木)

年末短期集中投稿4発目。

USJが更に来年2月からまた入場料を値上げしますね。

強気の値上げです。

調べてみると開業14年前が5500円で

来年には7400円へ、1900円アップというからビックリ。

週刊少年ジャ○プも小学生時代はかなり200円を切っていたのに、

どんどん値上げされていく…。

医学系の洋雑誌は更にえげつない感じでアップしているし、

景気と連動しているというには大分乖離しているようで

何だかなぁ、のTです。

 

12月9日の勉強会は

80歳代高齢者女性の腹痛。

 

腹痛があってトイレにいくもあまり便出ず、

嘔気も強く認めだしたため救急要請。

バイタルサインは安定。

ただし、心房細動あり。超重要な情報ですね。

診察上は他覚的所見で腹部は柔らかい。

でも結構痛がっていて、全体的に痛がっている。

 

お腹の柔らかい急性腹症です。

 

結構痛がるので、鎮痛薬使用するも改善に乏しい。

鎮痛薬で改善しない急性腹症は、

侵襲的治療を要する確率がグッと上がります。

 

血液検査では軽度の乳酸上昇と

血糖400台の高値、著明な代謝性アシドーシス。

糖尿病性ケトアシドーシス(DKA)でも

急性腹症を呈することがしばしばあるため、 

DKAか!?と惑わされそうになりますが、

高血糖は高度侵襲による耐糖能障害+脱水でも

起き得るため、その裏に潜んでいる病態を

見逃してはなりません。

 

今回のポイントは高齢者で

急性腹症で薬剤抵抗性、

突然発症で症状の割りに腹部が柔らかい、

ということです。

 

以前にも伝えたことがあるかもしれませんが、

突然発症の場合は、

疝痛発作、捻転、虚血、破裂、解離を念頭に起きます。

 

こういう場合にまず見逃したくないのは、

上腸間膜動脈(SMA)閉塞症候群、

肝脾腎梗塞等の血栓による虚血。

特にSMA症候群は致死的です。

似たような病態で

非閉塞性腸間膜虚血症(NOMI)もありますが、

これはかなり重症病態を見た感じでも

呈していることが多いです。

その他にも絞扼性イレウス、

SMA解離、下部消化管の腸間膜穿通も

鎮痛薬がなかなか効きません。

 

尿管結石や総胆管結石は疝痛発作を

来たしますが、鎮痛薬は結構効くことが多いです。

 

ということを念頭に入れつつ、

今回は腎機能が悪くはあったのですが、

Afもある急性発症の柔らかい激痛で

あったため、造影CT施行して、

見事にSMA閉塞でした。

そして緊急カテーテル+集中治療へ…。

 

現病歴、臨床症状、治療効果を

総合的にしっかり把握して、

血液検査や単純CT所見に騙されない

臨床推論が重要ですね。

 

SMA閉塞は救急がそれなりに来る病院では

そんなに珍しくありません。

しっかり今回覚えたことを念頭に

ちゃんとこれからもER診療に望みましょう!

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