桂 ER 救急医療最前線 ブログ

AG開大性代謝性アシドーシスでKILU

【投稿日】2018年7月3日(火)

京都府には京都市以外にも情緒あふれる寺社が多くあります。
木津川市は浄瑠璃寺。
国宝である九体阿弥陀如来像を筆頭に
写真にあるような三重塔や庭園も、
極楽浄土をこの世に復元したと
言われるだけあってとても魅力あふれ寺です。
近くの吉祥庵という蕎麦屋の
ランチも食べたら最高の観光になります!
(早めに行かないと蕎麦売り切れます)
残念ながら今月から九体のうち二体ずつ
修復に出されるため、
数年間九体全て揃っては拝めないので悪しからず。
暫くは七体です。

6月6日の早朝勉強会。
60歳台女性の、嘔吐を主訴に救急搬送。
元々るいそうで胃腸炎から飢餓状態になり、
低血糖+ケトアシドーシスを認めました。

気分不良の原因が胃腸炎にしては、
5日間経過しているのに改善傾向無く、
むしろ増悪傾向。
低血糖を補正してもいまいち症状改善無し。

血液ガスではAG開大性代謝性アシドーシスが
認められるのに、乳酸値は上がっておらず、
薬物中毒っぽいエピソードは一切なし。

食事摂取をほぼ出来ていないため、
ケトン体を測定してみると、異常高値!

小児だとそれなりのストレスで
容易に自家中毒(アセトン血性嘔吐症)を来し、
血中のケトン体濃度が上昇しますが、
成人では、通常の生活している人がなるのは、
そう多くありません。

今回はAG開大性代謝性アシドーシスから
更なるアセスメントで、
ケトアシドーシスにたどり着いた症例でした。
ケトン体だけが今回のアシドーシスの原因ではありませんが、
食い込み過ぎるとブログでは訳わからなくなるので、割愛。

AG(anion gap)=血清Na(mEq/L)-〔血清Cl(mEq/L)+血清HCO3-(mEq/L)〕
の値で、通常は12±2程度に納まっています。

AG開大性代謝性アシドーシスは、
KUSSMAUL-Pという語呂合わせで覚えましょう!
みたいなことをTが学生や研修医の時は学びましたが、
日本ではまず見ないような中毒の頭文字まで覚えようと思っても、
直ぐに風化してしまいます。

Tは今でも時々研修医の勉強会で来ていただいている、
内科のS医師から教わったKILUが
単純明快で覚えやすいと思っています。

AG開大性代謝性アシドーシスは人を
KILU(殺す 綴りは違いますが分かりやすい)する。

K:ケトアシドーシス(糖尿病性、アルコール性、飢餓性)
I:Ingestion, Intoxication 摂取、中毒(メタノール、サリチル酸等の薬物をひとくくり)
L:Lactic 乳酸性(循環不全、壊死、メトホルミン)
U:Uremia 尿毒症(腎不全が基礎疾患にある人)

もちろん高乳酸血症は色々なことで起き得ます。
KILUから更に深読みはしないといけませんが、
普段から現場で色々と経験している人間は
こっちの方が鑑別しやすいです。

現場では嘔吐の原因が何かはっきりせず、
もやもやしていましたが、
原因がはっきりして、
今回の患者さんも輸液加療にて
数日で症状が改善しました♪

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