背骨の中には脊髄、馬尾と呼ばれる神経が走っており、手足の運動、感覚、排尿、排便等に関わる重要な働きをしています。様々な原因により、それらの神経が圧迫されると手足のしびれ、疼痛、運動障害、排尿排便困難等、多彩な症状を呈します。脊椎脊髄外科では症状の改善、進行予防を目的に、圧迫の原因を手術により取り除き、背骨が不安定な場合には固定術を追加し安定化を図ります。手術によりほとんどの場合、症状の改善を認めます。当院で最初に脊椎外科を始められたのは桐田良人先生で、頚椎の手術に世界で始めて高速回転式ドリルを使用しそれまでの手術成績を飛躍的に改善させ、桐田宮崎式脊柱管拡大術として現在の標準術式の基礎を確立されました。こうした伝統を引き継ぎ術式の改良、最新の顕微鏡の導入により患者さんにとってより安全、確実、低侵襲な手術を行っています。
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以下で脊椎脊髄外科疾患の手術治療の流れについて説明します。
●診断
レントゲン、MRI、脊髄造影、CT、MRI検査のほか症例により神経根ブロック、椎間板造影なども行い、術前にできるだけ責任病巣を特定して手術に望みます。障害の原因を正確に把握することが的確な治療につながると考えています。
●術前説明
診察、検査の結果の下で現在の症状の原因について説明します。これまで受けてこられた保存的治療(内服、注射、リハビリ等)を続けることにより今後症状が改善するのか悪化するのか、そして悪化する場合はどれほどの期間でどの程度悪くなるのか、手術によりどれほどの軽快が見込めるのか、手術に伴う合併症とその頻度等について説明します。すべてを正確に予測することは困難ですが、できるだけ多くの情報提供を行い患者さんに十分理解していただいたうえで納得して手術を受けていただくよう心がけています。
●手術
後頭骨から仙椎まで背骨に関わる疾患が対象になります。背骨の手術は神経の圧迫を取り除く除圧術と不安定な背骨を安定化し、変形を矯正する固定術に大きく分けられます。
A) 頚部脊柱管拡大術
頚椎症性脊髄症、頚椎後縦靭帯骨化症に対して主に後方より骨を削り脊髄の圧迫を取り除く手術を行っています。術後の頸部痛を最小限にするために第7頚椎棘突起を温存する方法を行っています。
B) 頚椎前方固定術
頚椎椎間板ヘルニア、圧迫の強い頚椎後縦靭帯骨化症に対して前方より神経の圧迫を取り除き、骨移植による固定術を行っています。
C) 腰椎開窓術、ヘルニア摘出術
腰部椎間板ヘルニア、腰部脊柱管狭窄症に対しできるだけ責任病巣を特定し、顕微鏡を用いて後方より神経の除圧を図ります。
D) 腰椎後方固定術
腰椎の不安定性のある症例に対しては、チタンスクリュー、ロッドを併用した固定術を行っています。現在は主にTLIF(経椎間孔進入椎体間固定術)によるアプローチを行っています。
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E)その他
新しい治療として骨粗しょう症による脊椎圧迫骨折による腰背部痛に対し、椎体内に医療用セメントを充填して疼痛を軽減する椎体形成術を行っています。また脊椎圧迫骨折後に生じた麻痺に対しては、脊椎短縮骨切り術を併用した固定術にも取り組んでいます。
●術後リハビリ
原則として手術翌日より歩行開始していただきます。抜糸は通常、術後10日目に行います。入院期間は通常、術後2週間程度です。ただし、筋力低下、麻痺症状等、術後リハビリが必要な方には、療養型病棟に2ヶ月程度入院していただく場合もあります。
●最後に
地域の診療所の先生方と連携し、患者さんに質の高い医療を提供するよう努めて参ります。そして患者さんにより満足していただけるような診療を心がけています。