泌尿器科

ロボット支援手術の現状とこれからの可能性

2023/01/01

手術支援ロボットは、手術の精度をより高める医療機器として近年急速に普及しています。

従来の腹腔鏡手術では鉗子(かんし)と呼ばれる細長い道具や内視鏡を体の中に差し込んで、医師の手で直接操作して患部を切除する方法です。ロボット支援手術ではこの鉗子をロボットアームを介して操作します。鉗子は人間の手のように多数の関節を持つため、これまでの腹腔鏡手術ではできなかった、より繊細で複雑な操作が可能になります。当院も2018年に手術支援ロボットを導入し、各科で多くの実績を積んでいます。

泌尿器科では当初、前立腺癌の手術からスタートしました。前立腺癌の根治手術である前立腺全摘術では、一般的に制癌性(取り切れているかどうか)を保ちながら、出血や多臓器損傷などの合併症を減らし、かつ、術後の尿失禁や性機能をできるだけ温存することが課題となっています。ロボット支援手術を採用した印象では、開放手術に比べて全ての面で優れていると実感しています。

また、保険適応の拡大に伴い、腎癌や膀胱癌の手術にも使用できるようになりました。2019年からは腎癌に対する腎部分切除、2020年からは膀胱全摘除をスタートしています。
2022年10月現在までに、泌尿器科領域の悪性腫瘍でロボットを用いた根治手術は、240例を超え、良好な成績を保っています。2022年4月からは腎摘除術や腎盂尿管癌に対する腎尿路全摘術にも適応が拡大されています。
全ての症例にロボット手術のメリットがあるとは限りませんが、従来の腹腔鏡では難しい症例には積極的にロボット支援手術を採用してまいります。

泌尿器科 部長 大久保和俊

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