栄養部門

NST&せん妄・認知症ケアチーム合同特別講演会

1月12日の栄養科ブログでお知らせしていましたが、3月8日にNST&せん妄・認知症ケアチーム合同特別講演会を開催しました。

大阪大学大学院歯学研究科 顎口腔機能治療部 准教授 野原幹司先生をお招きして、
「認知症高齢患者の食支援~食べない・ムセるへの対応~」についてご講演いただきました。

今回、「認知症高齢患者の食支援」がテーマとなったのは…
野原先生は摂食嚥下や認知症に関する本をたくさん執筆され、数々の学会や講演会でもご活躍されています。講演を拝聴した当科の川手科長が、「是非当院でも多くのスタッフに講演を聞いてもらいたい!」との思いから、4年間の3月に開催予定で進めていたのですが、コロナ感染拡大で延期になり、4年越しの開催にありつけました。野原先生、ありがとうございました。

病院には、高齢化や脳血管疾患の後遺症等、様々な形で嚥下障害となる患者さんがたくさんおられます。食事が気管に入ることで肺炎を発症してしまう「誤嚥性肺炎」で入院される方もおられます。

私たち管理栄養士はそうした患者さんに安全に食事を食べて頂けるよう、「嚥下調整食」をご用意しています。患者さんにとってどのような形態の食事が適しているかは、主治医や看護師、言語聴覚士と連携して検討しています。また、長期の入院によりせん妄や認知症が進行してしまうことがあり、食事がうまく認識できなかったり、時間の感覚が乏しくなる、昼夜が逆転してしまって食事時間に眠ってしまう等、様々な理由で食事が進まないこともあります。

当院には「せん妄・認知症ケアチーム」があり、毎週、精神科医、認知症看護認定看護師、リハビリテーション科のスタッフが回診を行っています。

NST(栄養サポートチーム)では認知症や嚥下障害により食事が進まなくなったとき、「嚥下訓練が進めばもう少し食べられるのに」とか「食事時間にしっかり起きてもらえれば食事ができるのに」と思うことがあります。せん妄・認知症ケアチームでもせん妄や認知症患者さんの栄養状態をNSTに相談したいということがしばしばあるそうです💦

毎年、年に2回、講師をお招きしてNST(栄養サポートチーム)として講演を開催してきましたが、今回はせん妄・認知症ケアチームと合同で開催することになりました💛

野原先生の講演を拝聴して、嚥下は訓練するものではないことや認知症もアルツハイマーとレビー小体型などの原因によってその対応が違うことを理解して、ケアに当たることができていないという気づきがありました。

特にアルツハイマー型認知症の場合は患者さんが「食べようとしない」のは、食べるという行為に至る前に、エプロンや食器、机の「柄」や「絵」が気になって、「食べる行為に至ることができない」ことなど、大変気づきの多いご講演でした。また、認知症患者さんは「目の前にある料理を食べていいものなのかどうかがわからないから食べずに居る」など、私たち管理栄養士も知っておき、対応すべきと強く感じました。

薬による食欲が低下があることにも注意し、そのような内服がないか薬剤師に相談する。食事が進まず止まっていたら「食べていいですよ」と声掛けするよう看護師と食事介助を相談するなど、患者さんが安心して食事ができる環境整備が肝心だと学びました✨

昨年まではコロナ禍の影響で現地での講演だけでなく、オンラインでの講演会開催も行ってきましたが、今回より現地開催のみとしたため、院外からもたくさんの皆様に参加して頂くことができ、直接皆様のお顔を拝見でき、嬉しかったです。Face-to-face、やはりいいですね。

沢山の方のご参加で、多くの人がこのテーマに関心を持っているんだなと感じました。また、実際に院外の方々とお会いして交流する大切さも感じました✨

院内での多職種連携、チーム間の連携、地域の連携…どれも患者さんにとって重要なことだと思いますので、栄養科として、そして管理栄養士として、自分にできることを考えていきます😊

管理栄養士IK

一覧ページへ戻る