消化器内科

胃カメラ検査を楽に受けましょう

2020/09/01

胃カメラ検査を楽に受けましょう

▶はじめに

 胃カメラ検査は癌の早期発見のためにとても大切な検査であり、定期的に受けることが重要です。ところが、胃カメラ検査は挿入時や検査中に苦痛を強く感じる方が少なくありません。そのため、検査を受けなければいけないことはわかっていても、ためらってしまい、定期的な検査ができない方がたくさんおられます。

 

▶胃カメラ検査の現状

 胃カメラ検査では、のどの奥に内視鏡が触れることで苦痛が生じます。その苦痛を和らげるために、検査前にのどに麻酔をしますが、それだけでは苦痛の軽減が十分ではないことがあります。最近では“苦痛のない内視鏡検査を”という患者さんの希望が高まっています。

 京都桂病院では以前より「ミダゾラム」という鎮静剤を検査の苦痛を和らげるため使用してきました。この鎮静剤を注射することでウトウトと眠った状態となり、検査の苦痛や不安を軽減させることができます。ところが、この薬剤は効果が切れるのに時間を要するため、検査後は2時間以上休んでもらう必要があります。そのため病院にいる時間がかなり長くなってしまいます。また、検査は楽だったけれど麻酔から覚めた後、だるさや眠気などが残るという声も聞かれます。

 

▶プロポフォールをもちいた苦痛のない胃カメラ検査

 そのため当科では、「プロポフォール」という鎮静剤を用いた検査を導入しました。この薬は、効きが早く、その一方で早期に体内から消失します。つまりスーと眠れてすっきり目が覚めるので、安全で使いやすい薬剤です。

 

実際の検査の流れ

①検査台に横になってから血圧、脈拍、呼吸状態を監視するための器具を手足に装着します。

②プロポフォールを静脈注射します。

③プロポフォールでしっかり眠っていること確認してから胃カメラを挿入して観察します。検査時間は8-10分間程度です。検査中に眠りが浅くなった際はプロポフォールを追加します。検査中は血圧、脈拍、呼吸状態を常に監視します。

④検査後はベッドで10分間休んでもらい、血圧、脈拍、呼吸状態に異常がなければ椅子に移動して50分間休んでもらいます。その後しっかり目が覚めてふらつきがないことを確認して帰宅して頂きます。

 

▶プロポフォールの副作用と注意点

 プロポフォールに限らず鎮静剤には副作用があります。主には呼吸抑制、血圧低下を起こすことがあります。そのため、検査中と検査後は血圧、脈拍、呼吸状態をしっかり監視することで、安全にも十分配慮しながら検査を行います。また、検査当日は自動車・バイク・自転車の運転はできません。ご高齢の方は、帰宅の際に誰かに付き添ってもらう様にしてください。

 

▶最後に

 プロポフォールを使用することで、苦痛なく、安全に、早く胃カメラ検査を受けることが可能となります。苦痛のない内視鏡検査により、定期的な検査が受けやすくなり、癌の早期発見に大きく寄与することになります。プロポフォールを用いた胃カメラ検査を希望される方は、当科あるいはかかりつけの先生にご相談ください。

一覧ページへ戻る