桂 ER 救急医療最前線 ブログ

仮想と現実と緊張性気胸

【投稿日】2016年10月18日(火)

ノーベル文学賞をボブディランが受賞したのが、

賛否両論を起こしているようです。

毎年、文学賞、平和賞は何かしらの物議があります。

やはり主観的な評価がどうしても入らざるを得ず、

そしてやや政治的な側面も入りつつ、

スッとはいかないんでしょうね。

村上春樹が近年毎年候補として名前が上がりつつ、

受賞できず、といったことが繰り返されています。

当の本人がどう思っているかは知る由もありませんが、

受賞して一発ドカンと行ってしまうと、

その後の作品のプレッシャーや売り上げに

多大な影響があると思うんですね。

受賞直後は売れまくるでしょうけど、

数年したら逆に落ち目になる可能性が。

そうであれば、候補に毎年上がってるくらいの方が、

モチベーションを高いまま維持できつつ、

その時期になると販促の効果も期待されるため売り上げも伸びつつ。

今のポジションが一番実は美味しいのではないか、

と勝手に思っているTです。

 

10月1,2日は大阪市立大学医学部看護学舎で

JATECコースがありましたので、

インストラクターとして参加してきました。

 

天王寺の街中にそびえ立つ、巨大なビル病院。

すぐ近くにはQ’Sモールやあべのハルカス。

御茶ノ水にある東京医科歯科大学や順天堂医学部もそうですが、

都会の医学部はやっぱり違いますね。

桂の1年目研修医W辺の母校を羨望の眼差しで見ながら

学舎に入っていきました。

 

1日目はTがいるブースでは主に外科的気道確保について教えます。

そして2日目はPrimary Surveyを中心とした実技を中心に

がっつりシミュレーションを行ってもらいます。

 

 

JATECコースで教えてて思うことは、

研修医の先生たちはシミュレーション慣れ、

ゲーム慣れし過ぎているせいか、

安直に侵襲行為を行う傾向にあります。

 

例えば、診察の途中で急変時にSpO2低下して、

胸郭膨隆と呼吸音減弱の所見を認めたら

直ぐに緊張性気胸だ!と胸腔ドレナージをしようとします。

 

緊張性気胸は心外拘束性・閉塞性ショックを来す気胸のことを指し、

かなり緊急度の高い病態です。

確かに外傷や人工呼吸管理による緊張性気胸は

胸部レントゲンを撮る前にドレナージをしないと

ヤバいくらいに急激に状態が悪化すると教えます。

ですが、胸腔ドレナージというのはかなり侵襲の大きい手技なので、

そんな安易に行う手技でもありません。

 

ですので、

レントゲンに頼らずにそれ程の侵襲の大きい手技をするのだから、

しっかりと根拠を持った所見を取る必要があります。

 

頚部の診察で、

呼吸補助筋の使用、頸静脈の怒張、触診上の患側への気管偏位、皮下気腫。

胸部の診察で、

視診上の胸郭膨隆、聴診上の呼吸音減弱、打診上の鼓音、触診上の皮下気腫。

そしてショックバイタルであること。

 

これが全て揃って初めて、

緊張性気胸の可能性が非常に高く、

レントゲンを撮らなくても十分に根拠がある状態という判断のもとで、

ようやく胸腔ドレナージ、という思考回路になるわけです。

 

胸郭膨隆と呼吸音減弱だけでは、

単なる気胸かもしれないし、血胸かもしれないし、

レントゲンを撮る余裕があるかもしれません。

 

どうしても模擬人形でやるため、

ゲームで病態を当てる感覚のようになってしまうこともありますが、

答え探しではなく、本当の人を救うために学ぶはずです。

 

ということで、桂ERでも良くシミュレーションを行いますが、

現実で人を救うためのトレーニングであることはしっかり強調し、

ゲーム感覚になり過ぎないように、学んでもらう必要があるな、

と思いながら、JATEC大阪コースを終えました。

 

今回も全国各地の色々な先生たちと交流が出来て、

多くの刺激を頂きました♪

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